第3種換気では、給気は建物の隙間や給気口から行われるために、それらを通過する空気の流動損失によって圧力が低下し、室内に負圧が生じます。発生する負圧の大きさは、建物の気密レベル、給気量、及び給気口の数によって異なります。とくに建物の気密レベルは、負圧の大きさを支配します。その結果発生する負圧は、気密測定試験で得られた換気量Qと、室内の負圧Pとの関係に基づいて評価することが出来る事になります。具体的には、次に示す方法で室内に発生する負圧を求めることが出来ます。
(1) 先ず、図1に示すような気密測定試験結果を両対数にプロットし、室内の負圧Pと換気量Qとの関係、いわゆるP-Q線図を求めます。
(2) 次に以下の[注1]に示す方法で、給気グリルからの換気量Qと、その時の室内負圧との関係式を求めます。
(3) そして気密測定試験で得られたP-Q線図に、給気グリルのPとQの関係から得られた値を流量方向に加えます。これが建物の隙間と給気グリルからの換気量Qと室内の負圧Pとの関係を示すP-Q線図となります。
図1は、気密レベルが0.5cm2/m2と、1.0cm2/m2における換気量Qと室内に生じる負圧Pとの関係を示したものです。例えば換気量を150m3/hの場合、気密レベルが0.5cm2/m2では、給気グリルがない場合には23Paの負圧が発生します。また気密レベルが1.0cm2/m2では、給気グリルがない場合には8Paの負圧が発生します。それに対して、もしも給気グリルを5個取り付けたとすると、換気量が150m3/hの場合には、気密レベルが0.5cm2/m2では8Pa、気密レベルが1.0cm2/m2では4Paの負圧が発生することになります。[注1]、[注2]
[注1] 給気グリルからの換気量は、つぎに示す関係式を用いる事で評価出来ます。
ここでαAは給気グリルの断面積(隙間相当面積)で、開度によって異なりますが、通常の使用ではαA=12cm2程度となります。したがって、式(1)を用いて、2点の値を定めると、給気グリルの換気量Qと室内負圧Pとの関係式を定めることが出来ることになります。具体的に求めて見ますと、以下に示すものとなります。
この2点で給気グリルのQとPとの関係式を定めることが出来ることになります。
[注2] 気密レベルが0.5cm2/m2の場合、換気量が150m3/hの中で隙間からの給気量は80m3/h、給気グリルからの換気量は70m3/hとなります。また、気密レベルが1.0cm2/m2の場合には、隙間からの換気量は100m3/h、給気グリルからの換気量は50m3/hとなります。
(a) 気密レベルが0.5cm2/m2の場合
(b) 気密レベルが1.0cm2/m2の場合