シックハウス新法で定められている必要換気回数0.5回/hは、室内の炭酸ガス濃度に基づいて定められたもので、つぎに示す条件下で行われています。
(1) 人間が事務作業程度の活動においては、一人当たり0.02m3/hなる炭酸ガスを発生する。
(2) 安静時においては、一人当たり0.013m3/hなる炭酸ガスを発生する。
(3) 室内の炭酸ガスの許容濃度を1000ppmとする。
(4) 室外の新鮮空気の炭酸ガスを350ppmとする。
かかる条件の基での必要新鮮空気量は、次式によって評価されます。
ここで、式(1)の各符号は、次に定義されるものです。
M:発生する炭酸ガスの量
C:炭酸ガスの許容濃度
C0:新鮮空気の炭酸ガスの濃度
したがって、必要新鮮空気量Qは、軽作業時では
となり、安静時では次のようになります。
ただ、室内の炭酸ガス濃度を基準とした場合には、居住者の人数が多くなると必要換気回数は大きくなり、逆に居住者が少なくなると必要換気回数は小さくなります。図1は炭酸ガス濃度と換気回数との関係を示したものです。建築基準法に基づく炭酸ガス濃度を1000ppm以下にするための換気回数は、居住者によって大きく異なることが分かります。このように、室内の炭酸ガス濃度を基準とすると、居住者の人数や住宅の大きさによって、必要換気回数は変化することになります。その為に、色々と想定される要件を考慮して、適切な換気回数を定める事は極めて難しいことから、大まかに必要換気回数を0.5(回/h)と定めたものと思われます。ただ、色々と問題があるシックハウス新法で定められた換気回数0.5(回/h)は、現状では当然ながら遵守しなければなりません。
図1 換気回数とCO2濃度との関係
また図2は、寝室の安静時に必要される新鮮空気量20m3/hが給気される換気システムを稼動させた場合と、停止させた場合における炭酸ガス濃度の測定結果を示したものです。換気システムが稼動させた場合には、寝室の炭酸ガスの濃度は、基準値の1000ppmの1/2程度となる500ppm前後の値で遷移しており、炭酸ガスのみに注目すると、極めて良好な室内の空気環境が実現している事がわかります。 一方、換気システムを停止した場合には、炭酸ガス濃度は午前1時過ぎを越えると、急激に増大し、午前6時頃には2000ppmを超えるものとなり、基準値の1000ppmの2倍以上の値となっています。このように換気システムは、炭酸ガスの濃度の低減化に対して極めて有効であることが分かります。
(b) 換気システムを停止
図2 換気システムの稼動の有無によるCO2